フェスティバルには魔が蠢く

人がごった返す祭りの夕方は、
まさに人間というものの蠢く夕方だ。


そこにはありとあらゆる人間性終結する。
愉しみ歓びだけではない。
魔に満ちている。
この字を私は麻に狂って表出した鬼、
すなわち隠(おに)である。


まぁ私のような間抜けがそういうところに
ふらふら行ってはいけないのである。


パントマイマーの帽子に小銭をいれるなどという
私らしからぬ行動をとったところから狂っていった。
ビール会社に乗せられて黄色いシャツを着て
街中で写真を撮り募っている連中が、
私を含めて5人ほどの写真を撮りたいといってきた。
これまた柄にもなく、それを承知してしまった。
そこで出会った同年代の男性と話をしだしたが、
こちらに隙がないと見ると急に無愛想になって
行ってしまった。
そこでふと思い返した。
写真を撮った後、私は鞄のチャックを閉めた。
それを自分で開けたまま忘れていたと思っていたが、
どうもそうではなかった気がしてきたのだ。


幸い鞄から紛失したものは何もなかった。
ペットボトルも含めてぎっしり物が詰まっていたのが、
みっともなくもピックポケットを防いだようだ。