鉄腕バーディーは和製スタートレック

ゆうきまさみ先生。
究極超人あ〜る」、面白うございました。
これと同時期に連載が始まり、
単行本1冊分で中断してしまったのが、
鉄腕バーディー」。
つとむ少年が宇宙から来た連邦捜査官バーディーの捜査中に、
巻き込まれて死んでしまう。
ウルトラマンよろしく、バーディーの体を使って生き延び、
体は修復のため銀河のかなたに送られてしまう。
つまり鉄腕アトムでなく、鉄腕ツトムになっちゃったという、
ちょっと笑えるギャグなのだが、
この物語の筋はかなり面白いスペースオペラなのである。


この世界の中では連邦政府と同盟という宇宙の星間同盟がある。
地球は辺境の地なのだが、辺境ゆえに宇宙からの難民が
身を潜める場所でもある。
このあたりの描き方が非常に魅力的であり、
捜査物というよりは政治劇、戦争劇として面白い。
また主人公のつとむとバーディーの人間劇、
二心同体の生活なども読ませてくれる。
惜しむらくはバーディーの体でつとむが日常生活を送れる
カニズムの説明がいまいち。
連載当初はウルトラマンへのオマージュですということで、
説明がついたかもしれないが、
リメイク後はスタートレックの色が濃くなり、
なぜ機械生命でもないバーディー上で、
つとむの精神だけでなく身体までエミュレートできるのか、
ちょっと説明しきれない苦しさが出てきた。


とはいえ、程よく科学公証あり、
程よく政治性も人間劇もあり、
これは和製スタートレックとして成功した作品と思う。
ちなみに椎名高志先生も「一番湯のカナタ」で、
スタートレックをやろうとしたが、
テクノロジーを描き散らかしてアッという間に終わってしまった。
やはりストーリーありきで、
遊び心としてSFをやるべきなのである。
GS美神」はその点、中期以降は横島の成長譚の中、
程よくSFをしていて傑作であった。