人の流通

アニメ「笑ゥせぇるすまん」を観てつくづく思うのは、
怪物、大橋巨泉の元に怪しい才能の渦が出来て、
そこから数々の名作が生産されたということだ。


現在はアニメにせよバラエティにせよ、
往時の勢いがない。
怪しい空気や、軽妙なウィットがない。
技術だけが洗練されて、関わる人間が小さく閉塞している。
作家崩れやタレント崩れが
自由に冗談やアイデアを交換し合う、
交歓の中から生まれる作品は
荒削りでも味わい深い。
軽薄なラノベを元にアニメ業界の感性だけで作るアニメには、
何の興奮も、歓びもないのだ。


これは偏に人の流通が足りないのである。
価値観の単純化により、規格外を扱いきれない管理職や、
規格外を受け容れられない職場ばかりだ。
しかし規格外こそが、ブレインストーミングに必要なのである。
脳をゆさぶるような作品が少なくなったのは、
そのせいではないだろうか。