父よ

あなたは弱い人だ。
上に立つことなど楽しみよりも苦しみが多くて、
一見偉くても、何も偉いことがないというのは、
よく分かっているはずだ。
それなのに、未だ一人の雄として上に立とうとする。


しかし、家族のつながりと言うのは、
意地の張り合いや、権利義務関係では
幸福になれないのだ。
つまり縄張り争いを家庭内でやると、
畜生と同様、家族が離散する他ないのだ。
人間の家庭を維持するには、
金だとか、貢献だとか、そういう概念を捨てて、
一重に温かい心と、多少のおせっかいをしたりされたり、
そうしていくことが大切なのだ。


これは直接に言うつもりはないが、
金というものをイデオロギーの一つとするならば、
そうした数多のうちの一つの思想のために、
この人間は偉くて、この人間は下だということを言えるのか。
金を稼いでいるかどうかで、
その人間が怠け者の役立たずとは決まらないはずだ。
そこのところの意味をよく考えて、
それで発言して欲しい。
そうすれば、こちらの気持ちも決まるのだ。