自分の心中を率直に書くこと

下に書いた車谷氏は、実に率直に物を書く。
知識人としての自負は、時折顔を覗かせるものの、
ほとんど見えぬ、むしろちょっとした独り言を
体系立て整理して吐露するかのような体である。


その中で腹の立つ知人の話などは、
ここまではっきり書いていいものかと思う、
ギリギリのものもある。
それはもし私の一身上であれば同様に腹を立てて、
何が真相かということをはっきり書きたいと思うだろうが、
一歩引けば周辺の人間関係と
自分自身の評判などを打算して、
ここまではよし、これ以上は控えようというものである。
しかし、そんな小賢しい打算などなく、
はっきりと事実と怒りをとつとつと書いている。


私もいい加減、立った腹を押さえられない性質で、
10年前のことでも昨日のことかのように思い出し、
まったく怒りを処理しきれないでいる。
そうなると、車谷氏のやり方が大変いいように思える。
自分の周りであったことを正確にまとめ、
誰がどういうことをして、
それがなぜ自分を辱めたのかをはっきり文章にするのである。
その時に相手の名前を敢えて伏せるような偽善をしてはいけない。
はっきり実名で書いて、それが明確に公正に
後々に残ることで、きっとどんよりした怒りは
拭い去られるだろう。