つるかめつるかめ

「中春こまわりくん」の中で、おぞましいものを見た後に、
こまわり君が「ひえぇえ、つるかめつるかめ」と
言っていたのが妙に気になった。
先ほど、諸星先生の「妖怪ハンター 天孫降臨」を読んで、
いつものように背筋がぞわっと、
日本古来からの八百万の神の気配というか、
祟り神が背中をスッーーと撫でていくかのような、
怖気が走った時につい「つるかめつるかめ」と出てきてしまった。


ググッたところ、これは落語用語のようだ。
「縁起を直すための言葉」とのことで、
まぁそんなところだろうなという感じ。
でもいい言葉だ。

ちなみに栞と紙魚子シリーズによく出てくる
「アブラウンケンソワカ」は
真言密教において大日如来に何かの成就を祈る時に
唱える阿毘羅吽欠裟婆呵(アビラウンケンソワカ)が
変化したものらしい。
地方によっては怪我をした時に傷口を押さえて唱えたりも
するそうだ。
ちなみに上述シリーズの中では
呪術によって永久に続く回廊のなかで
魔性に追いかけられる中、
アブラウンケンソワカと唱えて垣根や扉を抜けると
現実世界に戻れるという使い方がされている。
これは催眠術などで、ある特定の言葉やイメージ、
刺激などで催眠を解けるということと似ていて興味深い。
スタートレック ヴォイジャーというSF作品の中では、
精神世界に閉じ込められて昏睡状態の人物が、
キーイメージである月がその世界の中のでは、
どの場面にも必ず存在する事を思い出して捜し、
それを確認できた時に目が醒めるという設定があった。


要はなにかきっかけを設定しておいて、
それを再確認すれば自分を取り戻せるということである。
これは日常生活でも心がぶれた時に応用できる、
大変手軽な方法である。