白州正子著「私の百人一首」新潮社

ちょっと和歌について知見を広げたいと思い、
読み始めたところ、論調になにか馴染みを感じる。
これは例えばマーシャル・マクルーハンであったり、
バート・ドットソンであったり、
欧米のメディア関係の知識人の書いたものと
似ているのではないか。
すなわち事例を先に見せ、
読者自身に照らし合わせたり吟味をさせ、
その上で自分の論理を実証的に展開させていくのである。
夫、次郎と同様に、当時の日本にあっては珍しい、
海外留学経験者であったという
背景が重要であろう。
彼女の書いた文章は真に日本的な女性が、
真に欧米的な教養の下に、
日本について実証的に論じた、
大変、面白く示唆的で知的なものである。