心に潤いを持ちたい

心の潤いは誰かに与えてもらうものではない。
むしろ自分が与える気持ちになることで、
結果として生じるのだと考えさせられた話。


吾妻ひでおの「地を這う魚」を再読。
104ページから近在の女性漫画家2名の家に、
売れない男性漫画家4名が金を借りに行くという
情けないエピソードがある。
この話でまず気になるのが、
「わてんちゃん」「ゆきみちゃん」2名、
ワニとサイの姿で描かれる
如何にもデリカシーのなさそうなキャラ、
がいきなり女性の小奇麗な部屋で煙草を
吸い始める。
そして斜を見ながら
「・・・さんのまんが
人気あるみたいだね」
とお世辞ともつかないお世辞を。
この時点で女性から嫌われる要素十分である。
そして訳も話さず
「お金貸して」
これは断られる。


しかし、ここできっぱり
「お断りします」
と断る女性にこそ、引っかかるものがある。
男女を問わず冴えない連中がぞろぞろと、
金を借りに来るというのは余程困っているのである。
それをにべも無く断る時の、その顔立ちは
筋張っており、如何にも色気がない。


わてんちゃん、ゆきみちゃんにあまり好感は持てないが、
それにも増して好感を持てないのはこの女性だ。
もてる女性というのは、こういう時、
本能的に助けてしまうタイプである。
エスカレートすれば結婚詐欺に遭うタイプだが、
それでも人が集まってくるだけましではないか?
私自身、人を遠ざけてしまう癖があるので
余計に気になるのだが、
目下損が出るとしても人が近づいてくれる方が、
人生幸せなのではないかと思う。