孤独の価値

例えば、そこそこ好みの子が身近にいて、
自分に対して好意を持ってくれているとする。
その子に「好きです。付き合ってください。」と言えば、
ささやかな幸福が得られるであろう。


しかし、そのささやかな幸福のために、
孤独の身悶えするような辛さと、人とのつながりへの憧憬など、
かけがえのない感性を失うことになる。
人は孤独でいる時ほど、
その感性に磨きがかけられるものだ。
肌寒くて空の透き通る夜に、
恋人と過ごすのもよい。
しかし、そんな夜に一人孤独にそぞろ歩くと、
空の美しさがより一層身に沁みるのだ。


その感覚は周囲の自然に対して注がれ、
それがまた翻って自分の内面に注がれ、
そこから想いが人間関係や社会に向くことで、
深い思索に耽ることができるのだ。