食う寝る処、住む処

人間というのは存外、
その居所によって形成されているところがある。
手前で「俺はこれこれの者よ。」と自負していても、
都会に居れば都市士(これをインドではナーガラカと言ふ)、
田舎に居れば田舎者になり、
貴人と居れば貴人に、
賤民と居れば賤民になるものである。


昨今では通信技術や輸送技術で、
都会に住もうが田舎に住もうが、
さして大差ないようにも覚える。
しかし、長い目で見ると、
どうしても都市士というのは常に新しい物を追い、
変化していくものであり、
田舎者というのは、とかく現状維持に努め、
田舎者らしさをより強めていくところがある。


つまり一度、田舎に定住してしまうと、
博打打が博打にのめりこむの如く、
田舎にのめりこんで後戻りができなくなって
しまうのではないかと想像される。
からして、幸運にも都市に生まれ育った者は、
田舎に赴任などの際には、
よくよく自分の人生をどうしたいか、
思案する必要があるのだろうと思う。
また同様に、付き合う友人恋人についても、
そういう観点から気を付けなければ、
思わず何かの癖を身に付けてしまうこともある。