私のなりたいもの

私のなりたいものは南方熊楠だ。
ダビンチ村のレオナルドでもなく、
漱石先生でも菊池寛でも太宰さんでもなく、
熊楠だ。


恋はするけど女にもてず、たった一人の兄弟からも疎まれ、
社会にも認められずに、自分の在るがままに生きるのだ。
それでいいのだ。


大事も小事もやりたいようにやっちまうし、
金なんてものは問題じゃあないのだ。
それで食えなくなったって、
持ってる本が借金の形にいくらになるわけでもなし。
失うどころか儲かるばっかりだ。


うんとこさ子供時代を生きて、
最後にちょろっと親父になって、
それですぐに死んじまいたい。