スターウォーズに見る魔

この物語の要は、アナキンに魔がさした点である。
つまり、R2D2C3POの原型が「隠し砦の三悪人」であるとか、
ジェダイを時代からもじったとか、
そういう日本性は問題ではないのである。
むしろ、この「魔がさす」という観念を
中心に持ってきたことこそが、
ジョージ・ルーカスが日本を理解していたことの証なのである。


なぜなら主人公に魔がさす展開というのは
西洋の物語にはほとんどありえないからである。
そういう展開はキリスト教的ではない。
魔がさすのはあくまでユダである。
日本の「魔がさす」というのは
むしろ選ばれしリーダーであっても
心に魔がさすこともあるという文脈である。
宗教的使命感を描く世界にそういう文脈はありえない。


更に第三部を観ていて、
「あぁ、ここでアナキンの馬鹿が
マスター・ウィンドゥの邪魔をしなければ。」
とハラハラした後、失望するのは、
これは全て人類が繰り返していることなのである。