阿部寛による犯罪者

ドラマ「白い春」において阿部寛暴力団上がりの前科者の役だ。
始めは阿部寛に犯罪者は似合わないと思っていた。
しかし、こうして何話か観ていると、
逆に知性派であることが、
何か粗野な前科者に精神的な奥行きを与えている気がしてきた。
いうなれば凶悪犯が死刑判決を受けて、
死の直前には聖人のごとき清らかで堂々とした
精神状態になるというような雰囲気である。


この製作は関西テレビであり、
おそらく「結婚できない男」と同じスタッフかと推察される。
なぜなら、主人公の周辺の若い男女の存在、
その性格、またところどころに必ず入る
定点カメラの演出が似通っているからである。
この製作陣は非常に質が高いと感じられる。
というのは一つの様式美をぶれずに持つ反面、
柳の下のドジョウ的な作品作りを避けて、
全く新しい脚本に挑戦するからである。
凡夫であれば「結婚できない男2」を企画するところである。
これは敢えて「白い春」を通した関西テレビも偉い。


アメリカのシットコムとは全く性質が違うが、
こうして老若男女が安心して見られるコメディタッチの
ドラマが日本でも定期的に見られるように
なってきたのは大変うれしい。