色とか恋とか

もう一つ、目下、私を悶々とさせるのは恋愛についてだ。
恋愛を色と表現するとおり、
これは仏教上の色(しき)の最たるものだ。
これが心を乱すわけで、それすなわち恋だ。
これを空だと本当に得心できれば、
そこが悟りの境地なのだが、なかなかうまくいかない。


では、心惹かれるのに任せて、
意中の人にアタックするかというと、
そうでもないのが歯がゆいところだ。
遠くにいたり、脈がなかったり、
何か困難のある人に心が惹かれる。
身近にいて、好意的に接してくれる人には、
それほどまでには惹かれない、
むしろ友達として付き合いたいという、
私の悪い癖だ。


むしろ成立したのが友情であっても、
それを恋だと勘違いして突っ走れる方が、
恋愛には向いているのだろう。
しかし、こんな調子で生きていくのなら、
いっそ出家でもした方が、よほど建設的ではないかと、
時折、心底、思うのである。